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【U.S.L.現地取材】東北福祉大が7年ぶりの日本一!<全日本大学野球選手権 決勝=7月15日 神宮球場 東北福祉大8-1福井工大>
文=知地泰雅、写真=並木汐音
7年ぶり4度目の優勝を狙う東北福祉大と北陸勢初の頂点を狙う福井工業大との顔合わせとなった決勝戦。東北福祉大は準決勝で大会3連覇を懸けていた優勝候補 ・青山学院大を倒し、コマを進めた。一方、福井工大は準決勝で強豪・東海大との接戦を制し、この一戦に臨んだ。
試合の主導権を握ったのは東北福祉大。3回に2死二、三塁の好機を作ると、新保茉良選手(4年=瀬戸内)、小山凌暉選手(3年=東海大菅生)の連続適時打などで序盤から打線が止まらず、5回終了時点で6点のリードを奪った。

福井工業大は、6回に先頭の山川宗慶(4年=興南)が安打で出塁しその後、1死二塁とすると池邉由伸選手(4年=明徳義塾)の適時打で1点を返したが、反撃はそこまでとなった。
7回には東北福祉大が追加点となる松本大輝選手(2年=智辯学園)、8回には小島慎也選手(3年=帝京)がそれぞれ今大会2本目となる本塁打を放ち、試合を決定づけた。
一方で前日の準決勝から2戦連続の先発での登板となった櫻井頼之助投手(4年=聖カタリナ)は変化球を軸に最速150キロの直球で福井工大打線を9回1失点の好投で優勝に導いた。

◯大会MVPには佐藤悠太選手が獲得「またこの舞台に戻って来たい」
今大会通算11安打6打点、打率4割4分の活躍を果たした佐藤選手。 「初球から積極的にいってヒットが出たので、今日もいける」と初回には右前打、3回には中前打、4回1死三塁では適時三塁打が飛び出し、猛打賞の活躍。とチャンスでの強さを発揮し、大会MVPに選ばれた。
報徳学園時代は大半をBチームで過ごした佐藤選手。高校2年まで投手をやっていたが、イップスに苦しみ野手に転向。大学入学後、2年秋にレギュラーの座を掴み今大会ではフルイニング出場を果たした。「この舞台でプレーしているのは全然想像つかなかった。1、2年生の時は調整とか関係なくウエイトトレーニングを行い、追い込んでいた」と努力が実を結んだ。
秋には同じ舞台で明治神宮大会が行われるが東北地区での出場枠はたったの1つ。「仙台大学を中心にリーグ戦も難しい戦いが続くので、勝ってこの舞台に戻って来たいです」と飛躍を誓った。
◯最優秀投手賞・櫻井頼之助選手「チームメイトにありがとうを伝えたい」
9回118球の完投で優勝に導いた櫻井投手。先発を告げられたのは前日の夜10時だった。「自分の中で先発は無いかなと思っていたけど、投手コーチから電話で『明日、先発で行くから』と言われた。自分の役割はチームを勝たせる事だからそれだけを考えた」と気持ちを切り替えてマウンドに臨んだ。決勝を投げるにあたって「(他の試合と)特に変わったことはなかった。プレッシャーはなかったけど、連投になって少し疲労を感じていた。捕手の伊藤和也(3年=明秀日立)と変化球を中心に配球を組み立てられた」と振り返った。
ゲームセットの瞬間、両手を挙げ、空を見つめていたが、その時は感情が昂りすぎて何も考えていなかったという。しかし、マウンドにチームメイトが駆けつけると「やっと目標が達成できた」と喜びを分かち合い優勝を実感した。


試合後のインタビューでは「チームワークを高めていこうということで、全員で勝つということを目標にしてやってきた。(味方の守備には)ありがとうの一言、それだけです」と仲間に感謝の気持ちを述べた。
さらに、大会を通して最も活躍した投手に贈られる最優秀投手賞を受賞した。大会期間中には神奈川県平塚市で行われる侍ジャパン大学日本代表選考合宿に追加選出され、7月に行われる日米大学野球の代表メンバー入りを目指す。
リーグ戦ではライバル・仙台大学を倒し、臨んだ今大会。大会新記録となるチーム合計59本のヒットを放った打撃力と櫻井投手、猪俣駿太投手(3年=明秀日立)を中心とした投手陣で7年ぶり4度目の栄冠を掴んだ。
