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【U.S.L.現地取材】第44回東日本バレーボール大学選手権大会3位決定戦: 順天堂大学3-2東京学芸大学
文・写真=並木汐音
順天堂大学と東京学芸大学の3位決定戦を選手の声と共に振り返る。
東京学芸大学は、準々決勝にて春リーグ王者の早稲田大学にフルセットで勝利し、前日の筑波大学戦もフルセットに持ち込むなど今大会躍進をみせた。
一方、今大会3年生以下の編成で挑みつつも、選手層の厚さと安定感のあるパフォーマンスで3位決定戦まで駒を進めた順天堂大学。
第1セットは序盤から、チームで得意とするサーブで主導権を握り東京学芸大学のペースで試合が展開される。春リーグでは、木下柊人選手はサーブ賞を受賞している。
順天堂大学も追い上げをみせるが、25-20 で東京学芸大学がセットを獲得。

2セット目は、順天堂大学が白野選手を軸にチームに勢いを引き寄せる攻撃と、徐々にフロアディフェンスを完成させていくことで着実に得点を重ね、19-25で順天堂大学がセットを取得。

続く第3セット、申哲淵選手(3年/OH)のサービスエースに続き、19点目の長いラリーを順天堂大学が制したことで流れを大きく掴む。東京学芸大学はタイムアウトを取得し切り替えをはかったが、20-25で順天堂大学が第3セットを取得。

第4セット、追い込まれた東京学芸大学。この場面について木下選手(4年/OH)は、「2,3セット取られた後、すぐに気持ちを切り替えて、フルセットで倒そうという気持ちで4セット目に挑めた」と振り返る。窮地に立つ局面でも強気なサーブで積極的に勝負を仕掛けた。 堤選手のサービスエースで第4セットを25-20で取得し、良い流れを作りつつ、ファイナルセットに繋げた。

勝負の第5セット、順天堂大学白野選手のアタックが決まり、コートチェンジになる。東京学芸大学はピンチを迎えたように思われたが、選手たちの目は虎視眈々としていた。春リーグの時から、フルセット勝負に持ち込み闘ってきた経験が、窮地に立たされたときこそ、己を奮い立たせるという姿勢に現れていた。さらに、キャプテンとしてチームを引っ張る木下選手が仲間を鼓舞し、チームに活力を与え続けた。しかしながら、順天堂大学も集中力を切らすことなくプレーし続け、最後までその勢いは止まらず、15点目は申哲淵選手のポイントで試合終了となった。

「2セット目以降から守備がはまってきて自分たちの流れに持っていくことができた」と後藤悠月選手(2年/L)は勝利を振り返る。

一方、この惜敗をうけ木下選手は、「この上半期やってきたことを出せれば、今回の東日本の結果みたいに1部のチームを倒して、早稲田も倒して、どんな相手にもフルセットに持ち込む力があるチームだと思う」と評価しつつも、「フルセットで勝ち切る力をつける必要があるので、そこをしっかり掴みに行くためには、自分たちがこれからの夏場、どれだけ鍛錬して力をつけることができるのかが大事になる」と夏への思いをのぞかせる。
「春リーグでは1部に戻って初めて、新チームで臨んだので『勝てるかな』という不安がありつつプレーしていましたが、秋リーグでは優勝を目標にして、『絶対勝たなきゃいけない』という気持ちで臨みます。そこは自分たち、仲間、チームメイトを信じてしっかりプレーして結果に繋げていきたいと思っています」と今後を語った。

前日のインタビューでも「誰に最後を託しても、決め切ってくれるという想いもある」と木下選手の仲間への信頼が垣間見える。今大会のフルセット勝負を通して得た自信と精神力の成長、そして最終戦の悔しさを糧に前を向く。そして、信頼する仲間と共に、この夏更なる成長を目指す。

秋のリーグ戦にむけて、自分たちの可能性を再認識できる一戦であったに違いない。今大会の結果をうけて、夏を越え、秋リーグではどのような姿をみせるのか。
大学バレーから目が離せない。